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by oniwabann

いま、女子大生は・・・・。 「人権教育」その原点を見つめて

 8月は「人権尊重のまちづくり推進強調月間」です。
 三木市では人権尊重のまちづくりを進めており、広報みきに毎月「人権の目」を掲載しています。
 本日は広報みき9月号に掲載される「人権の目」を少し早いですが、ご覧ください。
 ※「差別をなくする輪をひろげよう」市民運動 作文の部で優秀賞を受賞された作文もあわせて掲載します。※広報みき9月号に掲載します。

 今日的な生き方として欠かせない人権教育。兵庫県下の大学においても、その取り組みが見直されてきた。根本は、いかに自己自身の課題として受け止めるかである。以前私が勤めていた女子大でも、学生が各自の生き方を振り返り、社会的な立場を語る中で、人としてあるべき姿勢を問い直す学習を重ねてきた。次掲の学生レポートがそれである。

 私も20歳になる神戸市の女子大に通う学生です。このことは、ここに居られる皆さんと少しも変わりはないでしょう。ただ「被差別部落に生まれた」というだけで、皆さんとは少し違った体験をしてきました。
 私が小学校3年生になった時、父が「部落差別というものがある。私たちの住んでいる所も被差別部落なんだよ。」と話してくれました。私が「何で?今まで友だちから差別されたことなんかないよ。」と言うと、「今はなくとも、この先大人になってから出会うかも知れないから。」と父が語ってくれました。私は幼くてよく分かりませんでしたが、「なぜ、そんなことがあるのだろう?」と理不尽な気持ちで一杯になりました。
 小学校4年生になり、週に1回学校が終わってから解放学級に通うようになりました。地域の公民館で小学4年生、5年生、6年生が集まって、学年に分かれて算数や国語の勉強をしました。学校からは担当の先生が交代で来られ、私たちの勉強を見たり、いろいろな話をしたりしてくれました。この学級は皆仲が良くて、まるで誰かの家に集まり宿題をしているような雰囲気でした。
 ここでの学習は教科の勉強だけでなく、学年の枠を越えて、球技大会やキャンプ、クリスマス会や読書会、工場見学などのたくさんの行事がありました。部落問題については、「人権学習」として学び、正しい知識を得ることができました。何よりも差別に出会った時、胸を張って「それは、おかしい!」と言える自分づくりと、自分を支えてくれる仲間づくりが、この学級の大きな目的であり、今それが達成できたと思っています。
 中学校を卒業するまで私は、解放学級で学んできましたが、学校の方の同和学習は上辺だけといった感じで、私たちの校区に被差別地区があることを知らない友がいました。ある日、私たちの地区は集まるようにと指示されました。その時地区外の友から「何であなたの地区だけ集まるの?」と聞かれ、私は部落差別や解放学級について説明しました。するとその子は「ああ、あそこが同和地区やったのか、知らなかった。だけど貴女が女の子で良かったね。うちのおばあちゃんが、同和地区の子とは結婚したらあかんと言っていて、私とあなたは女同士、結婚することはないから。」と言われました。
 何だか目の前が真っ暗になった気がしました。その子がもっと理解していれば・・・・。正しい知識を持たず、ただおばあさんが言ったことを鵜呑みにして、二人は女同士だから仲良くしようと気遣って当たり障りのないよう言ったのだと思います。その子には何の悪気もないし、無邪気な一言なので責められません。
 しかし私は傷つきました。もっと学校で、十分な同和教育をしていれば、彼女の間違いを容易に解きほぐすことができたのに。そして、おばあさんの考えについても、彼女自身が正してくれたであろうと思うと、残念でしかたがありません。無知がどれほど怖いか、仲の良い友だちだっただけに、その後の関係までギクシャクしたものになりました。今まで直接出会ったことがなかった部落差別、それがすぐそこにあることに気づいた瞬間でした。
 こうした内容を、受講するクラスメートを信頼して語る彼女は、自分の気持ちを奮い立たせ、新しい第一歩を踏み出そうとしている。彼女の立場宣言は、教師を目指す女子大生に、大きな衝撃と明るい希望を与えた。
 今、解放学級は、「地域に学ぶ体験学習支援事業」として再生しているところもある。差別・被差別の立場を超え、大きな広がりを見せた人権教育。仲間と共に自己変容の姿を開示しながら、人間の生き方の基本を極める教育として、その原点をここに見るのである。

甲南女子大学人権教育担当 大髙 忠

<略歴>兵庫教育大学附属中学校副校長、加古川市公立中学校長、神戸親和女子大、甲南女子大非常勤講師、加古川市人権教育指導員
by oniwabann | 2008-08-29 15:34 | 人権 | Comments(0)